2004年8月25日

来月からドイツでは、第二次世界大戦末期のベルリン攻防戦とヒトラーの最期を描いた「Der Untergang」(破滅)というドイツ映画が公開される。ベテラン俳優ブルーノ・ガンツが独裁者を演じているのだが、45年の記録写真に見られるげっそりやつれた感じのヒトラーにそっくりである。

ベルリン攻防戦といえば、小学生の時に父親と東京で見たソ連の戦争映画「ヨーロッパの解放最終編・ベルリン攻防戦」を思い出すが、今考えるとソ連をひたすら英雄視した超国策映画であった。まず「ヨーロッパの解放」という題名からして、ポーランドやチェコの人が聞いたら怒るに違いない。ソ連は東ヨーロッパをナチスから解放してすぐ占領したのだから。

先日ベルリンに行った時に、ヒトラーが自殺した総統官邸の地下壕の付近の道を車で何回も通ったが、今では当時の様子はほとんどわからなくなってしまっている。この地下壕があった場所のすぐ北側、高級ホテル、アドロンの南側に、ドイツ政府によるホロコースト記念碑が建設されている。墓石のような灰色の石板が、すでに何千枚も並べられていた。

東京で言えば、銀座や日比谷にあたる場所に、自国がかつて迫害した人々を追悼するモニュメントを作る。過去60年間にわたり、ナチスの過去と訣別するべく、批判的な取り組みを続けてきたドイツらしい作業である。